こんにちは、スズロウです。
デジタル技術の飛躍的な進歩により、人工知能、自動運転車、ロボット、宇宙旅行、仮想世界などのSF映画で見たシーンやストーリーは、年々現実に近づいているようです。
最近になってメタバースという言葉をよく耳にします。
「メタバース」という用語は、SF作家であるニール・スティーブンソンが1992年の作品「スノウクラッシュ」の中で30年前に使ったとされています。
日本では『メタバースをしよう』という企業がまだまだ少なく、世界に後れを取っていますが、メタバースプラットフォームであるcluster(クラスター)は、積極的にアプローチしています。
2028年には、市場規模が1兆ドル(約115兆円)に達するという予測があり、IT分野を中心とした調査・助言を行う企業であるガートナーは、2026年までに、25%の人々が仕事、買い物、教育、ソーシャルメディアまたは娯楽のためにメタバースで少なくとも1日1時間を過ごすと予測しています。
デジタルがあふれる生活になるというぼんやり各業界で抱いていたものが、業界や人類の目指す先としてメタバースに集約される未来が来るかもしれません。
メタバースとは
image source: ゲッティイメージズ
メタバース(metaverse)とは、英語のmeta(超越した)とuniverse(宇宙・世界)を合成した造語で、インターネット上に構築された没入型の仮想世界の概念を指します。
そこでは、オンラインの空間に自分の分身となるキャラクター(=アバター)を投影して交流や様々な経済活動を行う事が可能となります。
この用語の認識は2021年10月29日に急上昇し注目を浴びました。
「自身のアバター(分身)がある仮想世界」という意味合いで、20年に発売され大ヒットとなったゲーム「あつまれ どうぶつの森」や、オンラインゲーム「フォートナイト」などもメタバースに該当します。
仮想世界と言えば、米リンデンラボ社が2003年に開始したSecond Life(セカンドライフ)を思い出す方もいるかもしれません。日本では、2007年ごろからブームが起こり、2008年ごろにピークを迎えたという短命な仮想世界サービスでした。
アバターを操作してユーザー同士で交流するだけでなく、デジタルコンテンツをメタバース内で作成、および売買して経済活動を行える点が大きな特徴で、次世代のビジネスチャンスと捉えた企業や個人が参入した事でも話題となりました。
メタバースと呼ぶには、二つの構成条件が必要
一つ目は、現実世界中心の経済活動が、バーチャル空間にシフトするという点で、バーチャル空間に活動の主軸を移した上で「経済」という観点が必要だという事です。
例えば、オンラインゲーム「フォートナイト」は、ゲーム内で販売するアパレルグッズの売り上げが年間30億~50億ドル(日本円で3450億円~5750億円)あるとされており、一部では「世界最大のアパレル企業の一つ」と指摘する意見も出ています。
二つ目が、クリエイターファーストの観点です。メタバースでは特定の誰かではなく、メタバース上で活動するクリエイターたちが、各自でゲームや建造物を自由に制作して生活しています。
クリエイターファーストにシフトした同様の事例として、加藤CEOはYouTuberを挙げ「動画はもともとハリウッドの映画会社や、テレビ局のプロ集団が制作した映像作品を楽しむというのが従来の楽しみ方でした。それが今では、素人が作ったコンテンツの方が、再生回数も多く、面白いという流れになりつつある」と指摘しています。
「メタバースは特定の誰かによって作られたものではなく、バーチャル上の住民たちが自分たちで自由に作り、自己発展する場であるべき。フォートナイト、マインクラフトあたりはメタバースの概念に近い」
情報ソース:クラスター加藤直人CEO
ポイント
メタバースと呼ぶには、クリエイターファーストで、バーチャル空間内に経済圏を形成しているという要素が必要。
社名をメタに替え、メタバースの覇権を狙うフェイスブック
世界で約28.5億人のユーザー数を誇るソーシャルネットワーキングサービス「Facebook(フェイスブック)」は、2021年10月28日に社名の変更を発表。社名をメタ(正式名称はMeta Platforms(メタプラットフォームズ))に変更しました。
2004年の設立から使用してきた社名を変える直接の理由は、仮想現実(VR)や拡張現実(AR)などの技術を活用して仮想空間で遊んだり交流したりできるメタバースの構築を優先するためだと言われています。
ザッカーバーグ氏の戦略ビジョンでは、本格的な普及は5~10年後としながらも、2014年にVRヘッドセットを開発する企業オキュラスを買収し、2019年には大ヒットVRリズムゲーム「Beat Saber」の開発元Beat Gamesを買収するなど、将来来るであろうメタバースのビジネスチャンスに向けての投資を次々と行っており、2021年だけで約100億ドル(約1兆1000億円)を投じています。
YouTube:The Metaverse and How We'll Build It Together -- Connect 2021
メタバースか注目される2つの視点
1.ユーザー視点
現実世界では物理的な制約や生まれた環境、見た目には残念ながら格差が発生してしまいますが、例として男性が手っ取り早くイケメンになりたい場合、現実世界では、ダイエットや美容整形などに頼ることしかできません。しかし、メタバースでは、思い通りの自分を、アバターを通じて自ら作ることができる事になります。
2.企業視点
金融業界ではブロックチェーン技術を使った暗号資産などが登場し、多くの人々が投資しています。
一例として、20年8月にcluster上でオープンしたポケモンのテーマパーク「ポケパーク」があります。
テーマパークを現実世界で作ろうとすると、多額の資金が必要で、建設段階で多くの二酸化炭素も輩出する。メタバース内で建設するほうが合理的で、エネルギーコストも低いという事ですね。
ポイント
・やった分だけ世界に干渉でき、動かしようがない現実を変えることができる。
・IT業界と経済業界が目指す方向性が合致した。
メタバースが目指す将来的な可能性
現在の状況を第一段階とするならば、第二段階とは「夢の中の世界に近い」状態を指します。夢の中の世界や脳内世界では、思ったことを自由自在に実現でき、クリエイターが集まるメタバースに近いと言えます。
今後、現実世界との境界がなくなるにつれ、障壁になるのが、重力など現実世界の物理法則となり、その研究について段階が移行していきます。
ポイント
「将来的に脳とメタバースを直接つなげることで、人類史上初めて、筋肉を介さずにクリエイティブ活動ができるようになる。考えたことをメタバース上にそのまま展開できれば、クリエイティブ活動の形が変わり、コミュニケーションの幅も広がる。人類の可能性が広がるのではないか」
「ゲーム製作のスキルとメタバース製作に求められるスキルは親和性が高い」「日本は任天堂やセガ、SIEを生み出した国。彼らが本気を出せば、メチャクチャ強いはず。メタバースは日本にかつての栄光を再現できる可能性を秘めた産業だし、日本発で世界を取れる領域だ」
情報ソース:クラスター加藤直人CEO